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プロフェッショナル

 NHKプロフェッショナルの藤原竜也の「破壊と創造」「半分の自信と半分の自信のなさ」という言葉が響いた。新しい環境で稽古する時、今までのものをリセットしないと新しいものは入らない。自信がないからこそ稽古し、少しでも前に進もうと努力する。さらに彼が芝居の台詞を徹底的に体に入れようとしていている姿は、私が演武をする時と同じ姿だ。

 今月の演武会に向けて「合気道の演武の意味とは」をずっと考えてきた。道場生達に説明する言葉は既に見つけていたのだが、自分にはしっくりこなかったのだ。でも彼の姿を見て、私が求める演武とは、「技を何度も何度も繰り返し稽古して自分の身体でそれが自然に表現できるものにする」ということなのかもしれないと思った。しかし、これに付き合わされる受けは大変だ。果たして同じ景色を見たいという人はいるだろうか。




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孤独を乗り越えたのではなく、横道に逸れて

 前回このブログを書いていたときには「1週間に1冊は本を読もう!そしてブログに書こう!」と意気込んでいたのに、あっという間にこんなにも時間が経ってしまいました。これまでに読んだ本の一部を紹介します。

 まずは齋藤孝さん「孤独のチカラ」、曽野綾子さん「人間の義務」。これらは孤独と生がテーマの本です。この本を手に取ったのは、1回目の緊急事態宣言の最中。道場を閉め、これからどうしたらいいのだろうかと悩んでいた時期。とりあえず先に進もうと稽古ビデオを作り始めるも、生徒たちからの反応は薄く、経済的な不安よりも孤独と戦っていました。そんな孤独と、どうやって生きるかと向き合うために、これらの本を手に取ったのです。斉藤さんの本は、青春時代にご本人が孤独と戦っていた時期を書いたもので、孤独を乗り越えることで強くなるというもの。ただその時は、読むほどに励みになるどころか暗くなる辛くなる...というわけで、最後まで読み切らず挫折。曽野さんの本は、生きることの意味を考えるもの。カトリック教育を受けたことで共感できる部分は多いのですが、まだその域は早い気がして今回は途中まで読んで保留。この2冊をは適当な時期が来るまでお預けになりました。

 次に、テレビで紹介されていて気になっていた、ヤマザキマリさんの「ビオラ母さん」。普段この手の本は読まないのですが、とにかく元気が出る本が読みたかったのです。テルマエロマエの漫画を読んだときから作者のヤマザキさんには興味があり、その生い立ちを知って納得。そして、子供の頃はみ出し者だった自分を肯定してもらえた気がしてとても嬉しい気持ちになりました。そのノリでヤナザキマリさんの本をさらに2冊。「地球生まれで旅育ち」「望遠ニッポン見聞録」。知性はすごくあるのにそれをひけらかすのではなく、女性というより「姉さん」的な文章は心地よい。濃厚な海外での生活を経て、日本のことを外から、それもダメな国としてではなく愛らしい国として見ています。そういえば、私が子供の頃に武道に興味を持ったのは海外留学を夢見出した時期であり、学生時代にアメリカやヨーロッパを合気道道場を訪ねながら貧乏旅行をした経験は、合気道の指導者としての道のきっかけにもなっています。海外での一人旅は、周りとは違う異質なものという孤独の中で、否が応でもでの自国と自分のことを考えさせられます。グローバル社会というのは外に目を向けるだけでなく、自国の良いところを見出し軸としていくことが必要です。

 もともと群れるのが好きではない私は、孤独にあまり不安を感じてきませんでした。その点で、研究者という職業は向いていたんだと思います。しかしながら、今感じている孤独は「指導者」という立場により生じるもので、一人で考え決断したことが周りに影響を及ぼすということで「周り」を意識したからこそ生まれる孤独のようです。先輩指導者に「指導者は孤独に耐えられなくてはいけない」と言われたことがあります。生徒がたくさんいても、孤独はある。

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心穏やかに

IMG_9069.jpgこのタイトル!まさに私が求めているもの。しかも斎藤先生が書いてるんだから、読むしかない。これは自律神経を研究する外科医と斎藤先生の対談の本。斎藤先生は自分の気持ちを落ち着かせる方法をいくつか持っているが、それを科学的にサポートして頂こうというのもあって外科医との対話になったという。

「心穏やかに」というと悟りきった物静かな人をイメージしてしまうのだが、ここでは「もともと攻撃性が高く気性の激しい」人がどのように穏やかにするかということが語られている。私がまず元気をもらったのは、お二人とも厳しい子供時代、学生時代などを送ってきたというところである。私自身周りとはなじまない、困った子供だった。気性も激しく、よく親や周りと衝突をした。そのエネルギーがあったからこそ、ここまで生きて来れたというのもある。このお二人は、そんな負ともいえるエネルギーをうまく転換することで、ポジティブエネルギーになると教えてくれている。このお二人はすでにそれをやってのけていて、私はまだということか。

最近生徒たちを見ていて思うのは、本当によい子が多いなということだ。自分を押し殺して言われたことに従っているのかというと、そうでもなく実に素直なのだ。(ただ、私の周りにいる人達が、恵まれた人が多いというのもあるだろう)。しかしながら、気持ちのエネルギーが弱いというか覇気がない...すでに「こころ穏やか」な状態に行ってしまっているのだろうか...

今は根性論は悪とされているが、シンドイ経験は人を強くする。このお二人の「心穏やか」な状態というのは、辛い経験を越えての強さも持つ穏やかさだろう。また、心穏やかな状態を作り出す方法としての「体技心」は、私もまさに実践しているものだ。身体が整えば心も整う、そのために技を使う。武道では「心技体」で心が身体を動かすと言うのでその逆だ。私の場合その技術は座ること。座禅ではあるが、まだ本当に座っているだけで座禅といえるほどのものではないので...。ただ、自分の気持ちを切り替える術を持っていることはしんどいことを乗り越える強さとなる。

また感情のコントロールは体だけでなく、知性でも行えるということ。だから本を読み、過去の叡智を学ぶのか...もっとインプットしなければ。今は新たに2冊の本を読み始めた。1冊は孤独に関するもの、もう1冊は義務に関するものだ。読みたいとは思っていたが、いまの私にはなんとも重いテーマでなかなか前に進まない。読み終えたら、またアウトプットします。

さらに「やりたいことやエネルギーをアウトプットできる場所も必要」とのこと。私の場合もそれは斉藤先生と同じ教員という仕事であり、物理や合気道を教えながら自分の考えを話すというエネルギーのアウトプットの場だ。そのアウトプットのためにインプットするという循環を回すことで、学びの幅も広がる。最近このようにせっせとブログを書き始めたのも「書く」というアウトプットのためにインプットしていて知性を高めるための訓練ともいえる。
さていろいろ相通じるところはあるのだが、果たしていつになったら私は「心穏やかに」なれるのだろうか。







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話すチカラ

image0.jpegこれはアナウンサーの安住さんと斎藤先生の対談が本になったものである。
これを読もうと思ったきっかけは、自分の話す力が落ちていることを感じている、安住さんが書いているということ、斎藤先生が書いているということ、である。

「わかりやすく話す」コツは、長年の教員経験と、なかでも私が最も力を入れていることなので共通意識である。この本で私が学んだのは、「話すためのインプット」だ。そういえば最近ネットに多くの時間を割き、あまり本を読んでいない...そもそもインプットが足りないのだ。

大学にいた頃は、図書費が潤沢だったこともあって片っ端から興味のある本を買いあさっていた。しかしながら、本屋に行ってもなかなかその気になるような本に巡り合うことも少なくなった気がする。そんな中で安心して読めるのが斎藤先生の本だ。私が学生時代に斎藤先生の授業を受けていたら、もっと言葉に興味のある理科教師になっていたかもしれない。

私が「話す力」が落ちていると感じる背景には、「あまり話さなくなった」ということもある。教師として話すときだけでなく、個人として話すときも「余計なこと」を話さないように気をつけているうちに、人と話すことを避けるようになってきている感がある。以前だったら生徒や学生たちにお節介とも思えることまで話していたように思うのだが、最近はそういうことも少なくなってきた。安住さんがいう「本当に言わなくてはいけない一言を言えなくなってしまう」という状況になりつつあるのかもしれないが、私についてきてくれる学生たちには言ってあげたい。今思えば、前回紹介した礼儀・礼節に関する本を選んだのも、失礼のないように言いたいことを言うにはどうしたらいいだろうか、という葛藤からあったのかもしれない。

もう一つ自分の話すチカラが落ちていると感じたエピソードがある。それは、最近受けたインタビューだ。フランスの合気道のグループがインターネットインタビューを企画してくれた。外国人であること、若い人たちをターゲットにしているだけあって、不思議な質問も多く興味深いものだった。1つ目のインタビューは英語で答えたのだが、実際の映像を見て英語の聞き取りづらさに驚いた。海外のセミナーは英語で行っているが、私の英語力が十分でないことと英語圏でないこともあり、短い単語で明確に話すことを心がけている。しかし今回のインタビューはインタビューアーに答える形になっているので、普段の会話のような話し方になっていて聞き取りづらいのだ。

また2つめは英語で質問されて日本語で答えているので、外国人にわかりやすい言葉で話そうという気持ちが働き、日本語が少しおかしい。それだけでなく、話したい内容がうまくまとめられなかったという気持ちもある。本の中では「人間関係がうまくいく話し方」とあり、相手の話しをうまく引き出す方法について書かれている。名インタビューアーはこれがとてもうまいのだろう。

一方で、回答側には「話をまとめて話す」という力も必要だ。言いたいことが複数出てきたときに、どの順番でどんな流れで話すのがわかりやすいか、ということを判断しなければならない。以前は授業60分喋り倒しということもよくあったが、基本的には生徒や学生、保護者、稽古人というある一定の集団が対象である。インタビューは不特定多数を対象としているため、どこに焦点を合わせるのかが難しかった。次のチャンスがあれば、もっと訓練したい。

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礼儀と礼節と

IMG_8955.jpg緊急事態宣言が解除され、久しぶりに本屋にいったところ、この本が目に止まった。これを選んだ自分の心境を分析してみると、
1)礼儀とは何かがわからなくなってきた
2)多くの生徒を抱える立場として、彼らの前にどのような姿を見せるべきなのか
3)人との距離の取り方をどのようにするべきなのか
というのがある。

1)に関していえば、武道の世界だけではなく人生の先輩方の自然で心地よい礼儀に触れるたびに、自分の足りなさを思い知る。一方で、礼儀を気にしすぎてその人との距離を感じてしまうこともあるし、呆れるほどの無礼な人に出会うこともある。と、ここで悩むのは、礼儀と常識、道徳は何が違うのかということである。

2)私の生徒たちは少なからず教育者としての私の影響を受けるだろう。もちろん反面教師としてみてもらいところもあるのだが、多くが素直な学生たちであるために私自身が気をつけなければならない。彼らに最低限の礼儀は示したい教えたいというのがある。

3)今私自身が心掛けている人間関係は、各々が軸を持ち自立することである。これは数年前から先輩の先生が口にされていたことで、稽古を通してその意味と重要性が理解できるようになった。頭の硬い私としては、まずは身体から変えていこうというところである。

さて、本を読んでまず興味を持ったのは、礼節=civility というところである。すなわち、市民として生きていくための方法というところだろうか。確かに日本語の辞書を引いても、礼儀とは「人間生活や社会生活の秩序を守るために、人々が守るべき行動様式」とあり、社会生活のための手段である。正直なところ、これまで私は相手を尊敬するなどの気持ちを持って相手に尽くすものだというイメージがあったのだが、これは間違いだったのだろうか。

いや?何かおかしい。本のタイトルは「結局うまくいくのは、礼儀正しい人である」とあるのに、本文は「礼儀」ではなく「礼節」で話が進んでいる。はて、「礼儀」と「礼節」は何が違うのだろうか。調べてみるとどうやら、「礼儀」はあくまでも行動様式であり、「礼節」は心が伴った行動らしいが、本にはこの違いについての説明はなかった。

本の内容は、礼節ある行動を取るためのルールが書いてある。それは置いておいて、最も合点が入ったのは最終章の「人はなぜ礼節を見失うのか」だった。その原因は、「ルールを破ることがカッコいいとされる風潮」や「政治家、教師、親などの権威の消失」「世の中の変化が早すぎて礼儀を守っている時間がない」とある。

この本の筆者はアメリカ在住のイタリア人で、大学で礼節と歴史を教えている大学教授である。彼自身が母国ヨーロッパとアメリカでの礼節の違いを感じていたように、日本もまたそれとは違っている。特に日本は礼儀正しい国民と思われていることが多いのだが、最近そうも思えなくなってきた理由はここにあるのかもしれない。

とはいえ、なぜ礼節が必要なのかというと、いろいろな人と出会うからである。世の中全員が知り合ならば、そんなに複雑な礼節なんて必要ないのかもしれない。したがって、礼節で悩んでいるということは、自分の世界が広がっていることなのだろう。この方法は、自分の意見を曲げることでも、無礼な人に対して涙を飲むことでもない。そういう場面で、人との関係を滑らかにしてくれる方法が礼節なのである。と頭では理解できたのだが、それを実行できるかどうかは別の問題。私の場合は、頭から形を入れて身体に染み込ませて自分のものにするタイプなので、次は形での訓練か...。まずはたくさんインプットして、頭の柔軟体操から始めるかな。

この本のを手にする前に気になっていたのは「自分を知る本 橙花の数秘占い」という本で、同じ頃友人がFBで紹介していた。彼女の朗らかな性格比べると、私は頭が堅いというか、真面目なんだなとつくづく思ったのでした。



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