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評価と贈与の経済学

 また内田さんの本を買ってしまった。ちなみに私は書評を書こうと思っているわけではないので、それを期待した方はここでおしまい。

 さて、最近も相変わらず専門書ばかり読んですっかり頭が硬くなってきたので、少し毛色の違うものを読んでみようと思って駅ナカ本屋に行ったところ、あまり気の進む本がなかったのでとりあえず買ってみたという感じだ。ちなみに頭というのは本当に硬くなるようで、頭部のコリがすごいことになっている。
この本は岡田さんとの対談本である。岡田さんというとオタクとダイエット本のイメージが強く、アニメなどについてしか語らないのかと思っていたら、オタクの目から社会や経済問題をきちんと考えていて正直驚いた。対談も岡田さん主導で、内田さんはむしろ相づちを打ちながら岡田さんの意見に学者っぽいサポートで裏づけている感じがする。

 二人と私の共通点は、日本の将来は絶望するようなものではないが今の若者はかわいそう、という考え方だろうか(これは私の印象として)。日本人には真面目さや思いやりという気質がある。だからもし日本の経済が破綻しても一生懸命働いて復興していくだろうし、少ないものを分かち合い、それなりに幸せに暮らせるだろう。そして若者がかわいそうというのは、社会が彼らをきちんと育ててこなかったこと。
例えば大学では講義の最中に携帯電話に出るために席を立つ学生や、ノックもせずに教員の部屋に入ってくる学生がいる。これは、そういうことをしてはいけないということを習っていない、あるいは経験していないのだろう。私はこういう常識がない学生を「かわいそうな学生」と呼んでいる。周りの社会や大人がそれを経験させてあげなかったからかわいそうなのである。

 さらに、人間関係がさらに大切な時代になるだろう、という意見もうなづける。ネットが繋ぐ人間関係を否定はしないが、会って話す声、表情 、手紙の文字などから相手を感じとるという部分がどうしても欠落する。内田さんのいうとおり、寝食を共にするというのは効果があるのだが、部活の合宿などをすると、知らない人と同室になるのがダメな学生がいる。こういう経験は子供の頃から1人部屋が与えられていたり、いろいろな人間の中で生活する経験がないのかもしれない。不自由ない生活が、かえって将来を不自由にしてしまっているのだろうか。

 では、未経験な学生達をどうするか。一番いいのは、学生自ら経験したいと思い行動する、である。しかし残念ながら今の教育システムでこういう子供達が出てくる可能性は少ない。したがって、そうなるようにお膳立てをするのが必要になるのだが、果たして私がやることなのか、意味のあることなのかというのが今の私の葛藤である。教育に対価を求めてはいけないのだが、自分の摩耗が激しい今は、上向きでない人を相手にすると消耗してしまう。最近教師にバーンアウトが多く出るものわかる気がする。と、真面目に考えるから消耗するのだが、こればっかりは性格だから仕方が無い。

どうやら私には心の応援が必要なようだからパワーをもらうために上野千鶴子さんの本を読もう。

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